2014年3月18日火曜日

Il cappotto ulster

 Salve!

アルスターコート完成。

イタリアではウルステルと呼ばれています。

語尾の”R”は巻き舌でしっかり発音されます。
例、Harry potter (アリーポッテル)Spider-Man(スペイデルマン)などもそうです。







このコートの特徴はやはりバックスタイルです。中央に走るPiegone(ピエゴーネ)と呼ばれる巨大プリーツ、Maltingara(マルティンガーラ)と呼ばれるバックベルト、この二つがUlsterの魅力を引き出します。





冬の厳しい寒さにもラペルを閉じれる様に考えられています。





 ウルステルコートには思い出がありまして、ちょうど10年前、初めて目にした時、一瞬で一目惚れしてしまいました。そして、師匠(マエストロ)で、ミラノでは私の父親でもあるコロンボ氏に無理をいってお願いし、このコートの仕立ての指導を受け、自分自身に仕立てました。その中にはたくさんの隠し技があり、今でもその時のメモとコートを大事に持っています。

 多くのお客様もウルステルコートの魅力に惹かれ注文されます。毎年、何着か仕立てるのですが、ジャケットとは違い、たくさんのディティールがあり、そして、襟、ラペル、ポケットには、Doppio puntino(ドッピオ プンティーノ)と呼ばれるダブルのハンドステッチが施され、かなりの仕事量になります。

 ウルステルコートはTight(タイト)燕尾服と同様イタリアではCapolavoro(カーポラヴオーロ)傑作と称され、職人達にとっても特別なアイテムです。
ミラノのサルト  井上 勇樹